教員の多忙化については全国的に解決すべき課題として考えられています。本県においては,今年1月に県教委より「小中学校教員の業務の軽量化に向けた改善策-教員が児童生徒と向き合う時間を確保し,教育活動をより充実させるために-」が出されました。
改善策の基本的方針の中には,次のような記述があります。 ---------------------------------------------------------------------------------- 1 教員の業務には「忙しい原因になっており軽量化すべき業務」と「忙しくても行うべき業務」がある。 2 改善が必要な業務 ① 事務・報告書の作成,会計の処理等 ② 出張を伴う会議 ③ 作品募集等 ④ 研究指定等 ⑤ 出張を伴う研修 ⑥ 校内研究・研修 ⑦ 外部人材・GTの対応 ⑧ 安全対策 ⑨ 保護者対応(対応に苦慮する要求等への対応) ⑩ 生徒指導や教育相談 ⑪ 部活動等 3 改善の基本的な考え方 (1) 業務の縮減 ①,②,③,④,⑤,⑥,⑪ 業務の廃止や統合,実施方法の簡略化や効率化を図る。 ただし④から⑥については,質の維持・向上を図りながら効率化を図る。 (2) 学校の支援体制の充実 ⑦,⑧,⑨,⑩,⑪ 外部人材を活用し,業務の専門性の向上や効率化を図る。 (3) 校務運営体制の改善 各学校における業務改善を進めるため,組織の見直しなど,運営体制の改善を図る。 -------------------------------------------------------------------------------------- 実は,私は「業務の軽量化」が教員の「堕落」に繋がらないことを祈っている一人です。「軽量化」の文言のみが一人歩きし,本来行うべき仕事まで中途半端でよしとする風潮を生んではならないと思うのです。確かに,「教員の多忙化」には深刻なものがあります。保護者のクレームへの対応に追われる,生徒指導で連日深夜まで対応する,部活動で休日もないなど,その傾向は中学校の教員により顕著に見られます。 また,逼迫した県財政により出張旅費の削減が打ち出されています。これらを鑑みれば,県教育研究会や市教育研究会,また校長会や教頭会,教務主任会などの研修会なども縮減すべきものであると思います。 さて,通信簿をどうするか。 IT化を進めるか手書きを継続するかについて,ここ一月ほど思いは揺れ動きました。確かにIT化の波は避けて通れず,ゆくゆくはそうなるかもしれません。ならば,早めに対応してもいいかもしれない,とも考えました。しかし,どうもすっきりしないのです。なぜ,すっきりしないのか,自分でもわからないまま時が過ぎて行きました。 揺れ動く心の中で,一つの問いにぶつかりました。それは, 「通信簿作成は事務なのか」という問いです。 いや,事務ではない。これこそ,児童,保護者と真正面から向き合い,担任としての存在を示し,評価を伝える「教育」そのものではないか。これが,私の答えでした。一人一人の児童の顔,保護者の顔を思い浮かべながら記入していく作業は,教師として誇らしく,崇高な仕事だと思うのです。 そう思ったとき,すっきりしなかった胸に,何かがストンと落ちたのです。 ただし,通信簿作成のシステムには,改善すべき余地が多々あると思います。 一つは,下書きの点検業務の軽減です。 私たちはプロの教師として,「下書きを点検した上で清書する」というシステムこそ改善すべきではないでしょうか。担任として責任を持って仕上げる,そういった気概を先生方はきっと持っていると思うのです。 教員の仕事として何が大切か,その本質を見失わずに,業務内容の見直しを進めていきたいものです。
by tan230
| 2009-03-04 20:32
| 教育
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友部丹人
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