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数値に惑う人々

後退,低下,落ち込んだ・・・なんとも,まあ,志気を低下させる言葉が並んでいます。読売も毎日も朝日も,今日のトップは,OECD学力到達度調査の順位が下がったという記事です。よくも,まあ,ここまでして国民の志気を奪うのでしょうか。メディア各社は,日本をどこに向かわせようとしているのでしょう。
想像するに,読解力も数学力も科学力も日本が1位にならないと安心しないのです。2000年(読解力8位,他の二つは1位)を上回る結果を出さなければ,納得しないのです。

しかし,それぞれの力の上位10位に入っている国や地域は,16しかありません。57の国や地域が参加しているのです。その16の国や地域の中で,3つとも名を連ねている国や地域は,上位から,フィンランド 香港 カナダ リヒテンシュタイン の4つの国や地域です。
次に,3つの力のうち,2つに名を連ねている国や地域は,上位から,韓国 台湾 ニュージーランド オランダ 日本 オーストラリア の6つの国や地域です。
そして,3つのうち,1つに登場している国や地域は,エストニア アイルランド スイス マカオ ポーランド スウェーデン の6つの国や地域です。

アメリカ合衆国 ロシア ドイツ イギリス フランス イタリアなどの先進国中の先進国,また,エジプト 中国 インド などの文明発祥の地の国々,これらの国の名が見あたらないのはなぜなのでしょう。まさか,参加していないのではないでしょうね。 
騒いでいるのは,日本のメディアだけかもしれません。

この調査は全数調査(15歳の該当者全員が実施)ではありません。日本は6,000人が抽出されて調査したといいます。なぜ6,000人なのでしょう。リヒテンシュタイン公国は総人口が33,436人(2004調査)ですから,小美玉市の人口(53,316人)よりも少なく,15歳が6,000人もいるはずはないでしょう。国や地域によって,調査数が違っています。また,国や地域によっては,優秀な生徒だけを選んで調査することも起こり得ることです。果たして,数値の信憑性はどうなのか,まゆつばものだと思えてなりません。「平均」という数字も曲者であることを心すべきです。

それでも,この結果を受けて,今後の本校教育で力を入れていきたいことをまとめてみると,次のようになります。 

言葉の力を付ける
国語辞典は全員に購入させる 辞書を引く・辞書を読む習慣をつけさせる
読書指導,ノート指導に力を入れる

家庭学習(自主学習)の一層の充実を図る
家庭学習指導はいかにあるべきか,研究する
反復練習問題だけでなく,思考力を高める宿題を学年段階を追って計画的に実施する

家庭生活の改善を保護者を巻き込んで進める
学習時間・読書時間・手伝い時間の確保
テレビ・ゲームの時間の縮小
早寝・早起き・朝御飯の習慣づくり

学力低下は今後も避けられない事態である,と私は思います。豊かで物があふれ,考えなくても生きていける日本だからです。大事なことに目を向けることなく,恣意的で享楽的な人づくりを志向するメディアという魔物が住む国だからです。考えなければ生きていけない国になれば,日本人は「考える」ようになるでしょう。しかし,そんな時が来るのを待つ前に,日本国はなくなってしまうかもしれません。
by tan230 | 2007-12-05 12:26 | 教育
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