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地域の教育力

前号の最後に「16日は絶好の天気となりましょう」と書きました。しかし,そのとおりとなるとは全くもって驚きでした。いやー,これひとえに雨の神である教務主任「惣和尊」の威力の辛抱による賜かと思われます。みなさん,平にお礼を申し述べましょう。
冗談はさておき,運動会を終えて,子供たちの満足度はどうでしょう。今日の1校時に行ったアンケート調査の結果が楽しみです。担任の先生方は一人一人の満足度を捉え,今後の指導に生かしてください。満足度の高い子にはなぜ高いのかを,低い子にはなぜ低いのかを考えさせることが大切です。「人のせい」にすることが習慣付いている子は,おもしろくないことを「人のせい」にします。「自分が辛抱や努力しないのを棚に上げて人のせいにばかりして不満ばかりを募らせる」という悪の循環に陥っている人間が世の中にうじょうじょいます。児童をそんな悲しい人間にしてはなりません。
さて,今日の午前11時頃でしょうか,学区内の方から電話をいただきました。教頭先生が受けられて,「校長先生,苦情らしき電話かと思われますが。」ということで取り次いでくれました。どんなことかと受けてみると,(T:小生,K:電話者)
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T たいへんお待たせいたしました。校長です。
K (美しい声で)まあ,お忙しいところを失礼いたします。わたくし,A中の近くに住んでおる者でございます。ちょっと歯が・・・ごほっ,ごほっ・・・まあ申し訳ありません。ちょっと年なもので。
T いや,そんなことはありませんよ。たいへん美しいお声だと感じ入っておりました。
K ほほほ・・・ごほっ,ごほっ,・・・すみません・・・実は,昨日のことなんですが。いろいろ迷いましたが,校長先生のお耳に入れておいた方がいいかと思いまして・・・。
T そうですか。それはそれは,ありがとうございます。
K わたくしも,いろいろ本を読んでいるのですが,どの本を見ても「学校と保護者と地域が協力しあうことが大事だ」と書いてありましてね。わたくしも,地域に住む者として,この地区の子供たちがすこやかに成長してほしいと思っておりますので,・・・ごほっ,ごほっ・・・
T おっしゃりとおりです。私も地域の方の協力を得ながら進めたいと思っておりますので,たいへんありがたく思います。
K わたくし,この地で30年以上住んでおりますが,最近の子供は昔とすっかり変わりました。まず「うそつき」です。自分に都合の悪いことはうそをついてごまかす,親もそれを鵜呑みにする。それに,今の子供は何を考えてるのかわかりませんね。人の前ではいい子のふりをして,見ていないところでは悪いことをしてる・・・目が離せないですよ。
T 最近の子供は規範意識が低下しているとよく言われます。私はこの4月からここに参りました。子供たちは全般的に素直で明るく,落ち着いているな,という印象を持っているのですが,学校外では,そうではない点があるのでしょうか。
K そうなんです。昨日のことなんですが,午後4時頃です。家では犬を飼ってまして。これが頭のいい犬でして。普段は吠えないんです。この犬が吠えるものですから,何だろうと思って外へ出てみたんです。
T はい。
K すると,家の前の道,これが細い砂利道で前日の雨で水たまりがたくさんできていて。それに,行政にいくら言っても刈らないものですから,鬱蒼と雑草が茂っていて,周りからよく見えないんです。子供が悪いことをするのに絶好の場所になっているんです。
T ほう。
K そこに小学生が3人いたんです。
T はい。
K どこから来たの,ってやさしく聞きました。今の子は怒っては何をするかわからないって言われてるでしょ。どこから来たの?って聞くと,ファイブテンの方から来たって言うんです。家から離れてますでしょ。見たことのない子供たちでした。
T はー。
K 何してるの?自由研究?って聞くと,一人の子が「へびと遊んでるの。」と言いました。へびに噛まれたら危ないよ,と言いました。すると,別の子が「人間を殺すワクチンの研究をしてる」 と言うんです。わたくし,びーっっっっっくりして。
T ほーーー
K 今,世間では凶悪な事件が多くなってるでしょ。そして,小学生が「人間を殺すワクチンを研究してる」と言うとは,もう開いた口がふさがらないというか・・・・。おまわりさんが来たらしかられますよ,人間を殺すなんて言ってる子はおまわりさんに連れていかれちゃいますよ,とわたくし言いました。
T ほーほー
K そのうち,子供たちは戻っていきましたが。校長先生,命を大事にする教育をしてください。昔はそういう映画もたくさんありましたよ。今はドラマといえば殺人ですもの。校長先生,よろしくお願いしますよ。
T わかりました。貴重なお話をいただいて,ありがたく思います。命の尊さについて,十分に指導いたします。
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最後に,お名前,電話番号などもお聞きしました。70歳以上になるおばあちゃんでした。「人間を殺すワクチンの研究」という小学生の言葉にひどいショックを受けたのです。
よりによって敬老の日にそんな悪態をつく子供に対しては,帰りなさいなどと言わずに,とっつかまえて,隣近所の人を集め,大人総出で尋問し,あざができるくらい尻をひっぱたいて欲しかったなーと思うのは,私一人ではありますまい。
(平成18年9月19日)
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by tan230 | 2006-09-18 09:49 | 教育

感性の教育

「徳の中に知も体も含まれる」ことを改めて強く感じさせてくれたものとして,寺門光輝先生からいただいた資料「感性教育の大事さ」を挙げることができます。(下記参照)
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感性とは  ・対象に働きかけるときの心の働き
        ・対象からの働きかけを受け取れる心の働き

     自分 →   心を(に)寄せる   心を(に)移す      →    対称
         ←   心を(に)とめる 心に受け入れる        ←
             心をあずける 心で感じる 心で味わう

 感性とは心に価値や意味を感じとる力
  心的,知的,創造的な面で生き生きといきていく基となる心のエネルギー
 感性の働き
  1 感情,情緒,情操を豊かにする
  2 気づきや発見など,知を刺激し,強固にする
  3 好奇心など意欲を引き出し学習を能率化する
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感性教育においては,「教師の感性が全てである」と思います。前号で感性を磨く努力の重要性を指摘しましたが,「教師の感性を磨く試み」として寺門先生は次のような問いかけをしています。
1 あなたは,子供の何に感動しましたか。
2 あなたは,子供に感謝のことばを言いましたか。
3 あなたは,子供の話を最後まで聞きましたか。
4 あなたは,子供に語ってきかせましたか。
5 あなたは,子供に祈る姿を見せていますか。
6 あなたは,子供に詫びる心をもっていますか。
7 あなたは,子供に自分の生きざまを,また,ご先祖様に関するお話をしたことがありますか。 
ありがたい問いかけだな,と思います。日々の忙しさに追われ,経験を積むにつれて,ともすると傲慢になってきてはいないでしょうか。ふと気が付くと「子供を見下す」ような考えをしている自分がいた,という苦い経験を思い出します。
寺門先生は,さらに,「黒板メッセージ」というものを紹介しています。これは,何気なく気付いたこと,感じたことを黒板に書いておくというものです。

・ 1時間目,ちょっと寒かったけど外に出ました。みんなは,いろんなところで春を見つけたね。木の芽,小さなクローバー,ふきのとう,風のにおい,木のあたたかさ,たんぽぽ,空の色・・・。先生は,早くみんなと,この草原にねっころがって,大きな空を見たいなと思いながら見ていました。
・ 今,教室のまどから,まんまるな月が見えます。前に見た時から1ヶ月たったんだなあ,と,みんなの様子やがんばりを思い出しています。
・ 畑の草とりをしました。久しぶりの土のにおいで,なんだかとってもあたたかく,なつかしい気持ちになりました。
・ きのう,久しぶりにきれいな夕焼けを見ました。なんだか空を見ているうちにほっとしたよ!朝は,前よりも小鳥がたくさん鳴いているのに気づきました。一日の最初に,すごく元気をもらったように思いました。

朝,子供が登校する前に黒板に書いておくのでしょう。あるいは,子供が下校した後に書くのかもしれません。教師が自分の感覚でとらえた季節の変化,子供への思いや願いをさりげなく書いておく・・・素敵な先生ですね。書く書かないは別として,このような話を朝の会や帰りの会でたくさんしてほしいと思います。
(平成18年9月8日)
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by tan230 | 2006-09-08 10:04 | 教育