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学校へのクレーム

ある週刊誌に興味深い記事が載っていたので紹介します。
「学校をダメにする『イチャモン』父兄驚愕録」というものです。
一読して,これは「学校を活性化させる保護者からのクレーム」と解して読むべきだなと感じました。週刊誌の記事の多くは読者の興味を煽る題名を付け,「なにそれ?」「そんなにひどいの?」と驚かせるような特殊な事例を紹介するというのが常套手段。今回もまさにそのとおりでした。
まず標題。未だに「父兄」という言葉を使用していることに全くもって呆れました。封建時代さながら,かつ時代錯誤甚だしく,編集長の資質が疑われます。
この記事の執筆者は,○○大学大学院教授です。教授ときくといかにもきちんとした調査や研究の上に立って論を述べているように思えますが,実際のところはどうなのでしょう。いわゆる専門○○と言われる変人も少なからずいることを頭の隅に置いておくべきではないでしょうか。
さて,記事の中では「イチャモン急増のワケ」として次の5つにまとめられています。
① 日本の学校が教科指導のみならず生徒指導を重要な機能として抱えているために,苦情の受け皿となりやすく,際限なく無理難題を受け入れることになった。
② マスコミによるステレオタイプ化した報道によって,学校や教師への過大な期待,否定的評価がともに増幅されている。
③ 国の教育政策の迷走が教育不信を生み出し,末端の学校がその尻拭いをさせられている。教育改革病ともいうべきこの迷走は,教育現場を疲弊させ,きちんと子どもや保護者に向き合うための体力をも奪っている。
④ 保護者についての世代論的考察も必要。「金八先生」に象徴されるように学校の機能・役割への期待が増大した70年代,そして80年代後半のバブル経済とその崩壊。そういう時代を生きてきた世代の意識と行動がイチャモンの増大に影響している。
⑤ 昨今の構造改革によるリストラや生活苦が広がる中で,多様に積み重なったストレスのはけ口として学校が選ばれている。
5つのワケを順に読んでみての感想は,「ふ~ん」といった印象を免れません。そうかもしれないとも思うし,そんなことはないとも思えます。ワケとして項目立てて述べている割には,説得力に欠け,ちょっとお粗末なワケです。①の「際限なく無理難題を受け入れることになった」には,首を傾げざるを得ません。また③は国の教育政策を挙げていますが,これもちょっと?です。私は,社会全体の個人主義への傾斜こそ問題であり原因の一つであると考えます。
人間が共に生きる社会においてクレームはいつの時代にも必ずあるもの,と腹をくくっていればいいのです。
私はクレーム大歓迎です。イチャモンでもいいから,どんどん学校に情報を寄せて欲しいと思っています。人間ですから間違いもあるし,一生懸命やっても抜けが出ることがあります。そこでクレームをつけてもらうことによって,間違いや抜けがわかるのです。それは現在の取組を真剣に見直すことに繋がります。
開かれた学校づくりで最も大事にしたいことは,「聞く耳をもつ」ことです。ただし,聞くことと「きく」こととは違いますよ。(「きく」=言われたとおりにすること)
福岡の中2生徒自殺という悲しい事件についても,どうしてもっと早くから学校の指導の在り方についてクレームがつかなかったのでしょうか。最悪の事件が起きてからでは,いくらクレームをつけても時すでに遅く全てが空しいばかりです。

クレームへの対応の基本として徹底したいことは次の5つです。
・クレームは必ずあるもの,なければおかしいもの,と考えること。
・クレームを嫌がらない,恐がらない,正々堂々と受けること。
・意見をお寄せいただきありがたいという感謝の心をもつこと。とにかく,話に真剣に耳を傾ける。明らかにこちらのミスの場合は丁寧に謝る。場合によっては,校長又は教頭と同道にて家庭訪問をして謝罪する。
・クレームの内容や願っていることは,こちらの意図と同じか違うか,違うとすればどこが違うのかを明確にすること。違いがある場合,学校としての「ねらい」や「意図」を丁寧に伝える。
・クレームの内容を生かせないか検討する。次回の計画に十分に生かす。

クレームをもとに学校への信頼を確固たるものに変える。それができてまことのプロといえましょう。
(平成18年10月20日)
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by tan230 | 2006-10-20 09:33 | 教育